シューベルト随想③

コロナ・ウィルスの流行で
たくさんの演奏会が中止となっております。
いたしかたのないことですが、
未知の危機に冷静に対処し、
皆さんおひとりおひとりの安全と健康が守られますように。


さて、
とはいえ先の読めない中ではありますが、
僕は21日のシューベルトのコンサートに向けて、
編曲作業を進めておりました。

今回編曲したのは
バリトンのアリスター・シェルトン=スミスさんが歌う
10曲の歌曲です。


春に D882
緑野の歌 D917
春の小川 D361
ガニュメート D544
僕のものだ! D795-11
春に寄せて D587
春の夢 D911-11
5月の夜 D194
春のおもい D686
春のあこがれ D957−3


「水車小屋の娘」の中から選んだものや
昨年の草津音楽祭で弾いたものもあるので、
初めて弾く曲ばかりではありませんが
今回は全ての曲がアリスターさんと初めてで
これまでやったキーと違うので
全て編曲し直しました。

で、そう言った舌の根もかわかぬうちに白状してしまうと、
「冬の旅」からの「春の夢」は
松尾俊介くんがバリトン版を作って演奏したことがあるのを
知っていたので、泣きつきました。。。
お礼はもちろんさせていただきます。


松尾くんはテノールの人とも
「白鳥の歌」全曲を演奏したりしていて、
シューベルト歌曲にはとても詳しいし、
実は僕は初共演のアリスターさんとは
松尾氏はすでに共演したことがあり、
彼の歌の特徴もよく知っているので、
今回は何かと相談に乗ってもらっておりました。

その時、
色々松尾くんに教わったのですが、
シューベルトの歌曲を編曲する際に
松尾くんがお勧めの方法、というのは、

まず、全ての原譜を打ち込む。
その際、ピアノ伴奏譜の右手のレイヤーを声部1と3、
左手のレイヤーを声部2と4にしておいて、
ギターの楽譜に流し込む、と、
自然に編曲ができる、というもの。


おいおい、
ピアノがそんなに得意じゃないっていうか
全然弾けないんだから
そんなことしていたらコンサートに間に合わないよ、
と思ったけど、
物凄い労力だけと原譜をチラ見して編曲譜と行ったり来たりしながら
少しずつギター版にするより遥かに早いし、
作り終わってもいつでも原譜と対照できる、と言われ
渋々全部打ち込んでみたわけです。

すると確かに、
びっくり。

もちろん、編曲に手こずるほど音が多すぎるところも
いくつかありましたが、
概ね、重複した音を削っていくと自然にアレンジが完成します。
場所によっては、そのまま弾けるところも。

すごく理にかなった編曲法のようですが、
これは、おそらくシューベルトにしか適用し得ない方法です。
アルベニスでさえ、こういうことは起こらないかもしれません。
ましてや、
福田先生のために僕が編曲したブラームスのインテルメッツォなんて、
もう全然。

その理由は、まず、
普通のピアノ曲は左手の分散和音の音域が広すぎる。
それから和音の密集の不協和が有効に使われすぎている
ということです。


このような結果から見ると、
確かにシューベルトのピアノ伴奏譜はギター的にできている、の、かも・・・・・
とちょっと感慨深かったです。


さて、アリスターさんとは
14日に鎌倉ギャラリーで練習会をいたします。
この日はバリトンとギターのための作品を他にも演奏します。
アリスターさんの地元イギリスの
ダウランドやジョン・ラターの作品も素晴らしいものです。

アリスターさんの素晴らしい歌声は
近い将来、大人気になるのではという予感がします。

それに加え、
オーボエの吉井瑞穂さんとコストの作品も演奏します。
コストの曲は、オーボエとギターのために書かれた
数少ないオリジナル作品。
そして、シューベルトの時代、
コストによるギター編の伴奏譜も出版されていたということで、
まさにシューベルトと共に演奏するのに最適なのです。

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