「愛の讃歌」「キングス&クイーン」~「キネマ楽園/love stories ②」

僕の母や父たちは、
越路吹雪さんの歌声に心奪われた世代。

だから、子供の頃から、
「愛の讃歌」という歌だけは知っていました。

やがてエディット・ピアフを知り、
原曲の持つ、越路さんとは違った種類の深い味わいに
シャンソンという文化だけじゃなくて、
パリという街の持つ香りに触れた気がしました。

武満徹さんが、少年だった頃、
リュシエンヌ・ボワイエの「聞かせてよ、愛の言葉を」
に感動したことは有名なエピソードですが、
僕にとっての「愛の讃歌」もまた、
遠くにあった音楽が、
突然自分にとって大切な、不可欠なものになったような
瞬間を体験させてくれる音楽でした。

映画「エディット・ピアフ~愛の讃歌」を観た時、
彼女のような孤独、力強さ、わがままさ、奔放さ、
と似たものが、僕のなかにもいつもほんの少しだけあって、
小さい頃からほんとうにちょっぴりなんだけど、
同じような気持ちになってきたことを発見した時、
僕は、エディット・ピアフがそれらを乗り越えるために
自らの内面を解放した勇気とエネルギーには、
とてもかなわない気がしたものです。
でも、どんなに時間がかかっても、
同じ方向にすこしでも歩いてゆけたらいいと思っています。


編曲はローラン・ディアンス。
現代フランスのギタリスト/作曲家です。

実はね、
今は若手の人たちがこぞって弾くようになった作曲家ですが、
僕が中学生の頃は、
福田先生が弾いているくらいだったんです。
でも、福田先生のおかげで、
ディアンスのリブラ・ソナチネも、サウダージの、
有名な3番以外の1番2番も、
十代の頃は僕の一番得意なレパートリーでした。
プロになってから、いっさい弾いてません。
他にうまい人がいくらでもいますしね。

弾かないけど、個人的には、
今、行きているギタリスト兼作曲家の中では、
一番才能がある人なんじゃないかな、って思っています。


ローラン・ディアンス編曲の「なき王女のためのパヴァーヌ」を、
僕は2000年に一度レコーディングしていますが、
今回、アルバムタイトルを「love stories」にきめてからずっと、
僕はどうしても「~パヴァーヌ」を再録したくて、
使用されている映画を探しました。

意外にも使われてなかったんですけど、
幸い、大好きな俳優、マチュー・アマルリックが出ている
「キングス&クイーン」という映画に、一瞬だけ使われていて、
それをいいことに弾いてしまいました。
この映画はとってもおすすめ。タイトルの意味が良く分かります。
マチュー・アマルリックのような、
絶対に人に嫌われないだめな男、というのも、
僕の影の部分がいつもそうなることを欲しているような感じで、
ちょっと憧れがあるのかもしれませんね。


「なき王女のパヴァーヌ」については、
僕はアンドレ・クリュイタンスの来日公演のライヴの、
ばらばらで、ニュアンスに満ち溢れた演奏が大好きで、
すこしでも、すこしでも細かなところを大きく歌うように、
ちょっとエキセントリックになってもいいくらいの心持ちで
演奏してみました。

"「愛の讃歌」「キングス&クイーン」~「キネマ楽園/love stories ②」" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント