クリスマス・ソング

知り合いのカメラマンさんにお願いして、
写真を撮りに。

彼を最初に紹介してくれたのは、
今僕が所属している事務所の担当の女性でした。
初めての撮影も、今日と同じように彼のスタジオで行われ、
99年の東京オペラシティでの、武満さんの追悼コンサートの広告に使われました。
その時、僕は父の死の一週間後で、
そのカメラマンさんとは父の話や、彼のお母さんの話をしながら、撮影しました。

その次に彼が撮影してくれたのは、
僕が横浜から東京に引っ越した後で、
その時の写真のひとつは今「月の光」というCDのジャケットに使われています。

今日はふと思い立って、先週彼にアポイントメントを撮り、
急遽撮影してもらうことにしたのでした。
スタジオに入った僕をみるなり、
「うわ、随分と変わったんだね」
と驚いていました。

確かに、
ここ2年くらいで僕の生活環境には大きな変化がありました。
楽しいことも、そうでないこともあったけど、
そのほとんどは自分ではどうにもならなかったように思われ、
どんなに周囲が引き止めても、新しい可能性が見つかれば
そこに身を投じなくてはいけないことだってあるのだということを
身をもって体感した気がしていました。

よもやま話をしながら撮影に入り、
今までにはなかったような和やかな雰囲気で時間が過ぎていきました。

彼は撮影中、ずっとi-tuneのラジオで音楽を流していました。
音楽は50年代風のジャズで、僕は撮影中、それにあわせて
ギターを弾いたり、トランぺッターのコピーをしたりしていました。
今、自分がやっている音楽のことなども話していて、
音楽の話が盛り上がってきて、
僕の99年の公演の話が出た時に、
「そういえばそのコンサートのオファーが来たのって、
たしか97年のクリスマスイヴじゃなかったかなぁ」って言ったら
「知ってるかい? 『religeous』というストリームのなかに、
一日中クリスマスソングを流しているところがあるんだよ。」
と言って彼はその放送にスイッチしました。
有名なクリスマスソングや、讃美歌が、いろいろなアレンジで
休むことなく放送されていました。

「『赤鼻のトナカイ』のトナカイの名前って知ってる?」
「『ルドルフ』。」
「あれ~ぇ、知らないと思ったのになー」
「そりゃ知ってますよ。僕クリスマスソング・マニアなんですよ」

そう言って、僕は手にしていたギターで「ホワイト・クリスマス」を弾き、
彼はそれを聴いてどうしてそういう曲をCDに録音しないかと言って僕を困らせ、
ふたりでクリスマスソングでひとしきり盛り上がって、
「でも、クリスマスソングが好きって言うのは、絶対子供の頃寂しかったんですよ」
と僕が決めつけると、彼は「違うよ」と即座に否定しました。

彼は、自分なりに子供の頃からの記憶を辿って、
自分がなぜクリスマスソングを好きなのか、理由を探して考えているようでした。
しばらく後に、彼が出した答え。

「幸せな家族を求めていたんだよ。」

「・・・・てか、それ、同じことじゃないですか?」

そう言って二人で笑いながら、
かなり突っ込んだ路線まで行って楽しく撮影は終了。
なんだか、昔からこういう、わびさびのある会話になりますよね。
それが面白いんだけど。

帰り際、
「君、何かあると写真撮りにくるよね。」
いや、全然そんなつもりはないんですけどね・・・
確かに今年はたいへんだった。
というよりも、これからなんだけど。

タイはクーデターもなんのその、大丈夫みたいですね。
10月はたくさん公演がありますし、
11月はいよいよその99年以来の、
香津美さんとの東京オペラシティ公演。
スケジュールなるべく早くアップします。
お楽しみに。





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