8弦ギターの近況とロマン派の多弦ギターについて

8弦ギターがうちに来てひと月半が経ちました。

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当初は、ダウランドに始まってバッハやヴァイス、
モーツァルト、ベートーベンから
メルツ、コストなどのロマン派のギター曲まで
幅広いプログラムが作れるなぁと期待していました。

でも、実際ギター持っていろいろ試してみると
ダウランドとバロック、そしてロマン派の作品、
それぞれにかなり異なる調弦をした方が良いことがわかってきました。

そこで当面、
ロマン派に集中することにしたのです。

ギターは意外なことに、
19世紀の半ばでは7弦以上の多弦は普通でした。

うちにあるラファエラ・スミッツ女史のCDのライナーによれば、
カルリは10弦、
コストは7弦、
レゴンディとレニアーニは8弦、
メルツは8弦から最終的に10弦になったそうです。

僕もコストのエチュードを弾く時に
いつも低いDをオクターヴ上げなくてはいけないのが苦痛でしたので、
8弦ギターが来るや否や、
こちらの動画を真似てエチュード弾いてみました。

こういうのもありました。

こっちの動画のギターは
オリジナルの19世紀多弦ギターみたいですね。
ルネ・ラコート製って書いてあります。


ここでご覧いただくとお分かりのように、
この当時の多弦ギターの主流は
低音の増やした弦を元の6弦と少し離して、
6弦との距離が
右指の場所では近く、ヘッドでは遠くなるように
放射状に張ったものでした。

そういえば、
昔、タイに行った時に、
ジャングルの近く(のように感じられるくらい郊外だった)のお家に住む
ギターのコレクターがいて、
(ぶっちゃけあんな湿度の高い場所でコレクターしていいのかどうか...)
知り合いに、
「メルツが弾いてたみたいなギターあるから行ってみようよ」
と言われ、
訳もわからぬままについて行った時の写真がこれ
(自分の髪の長さに絶句.....)
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これ見ても、
(もしかしたら修復のせいかもしれないですが)
7弦から下の低音弦は
ちょっと離れてますよね。

これ見て、
あれ?
とお気づきになった鋭い方もいらっしゃると思いますが、

ウィーンの酒場の、
シュランメルンっていう
民族音楽のギターはこの名残なのですね。


何が言いたいかというと、
19世紀半ばの多弦ギターは、
低音弦は開放弦で使用する番外弦なので、
離れた場所にあり、しかも音階だから
張ってある本数分の数の音程しかない、
つまり10弦であっても最低音は
⑥弦ミ-⑦弦レ-⑧弦ド-⑨弦シ-⑩ラ
で、ラまでしか行かない訳です。

そして離れているから
さっきのシュランメルンの楽団のおじさんのように、
右手親指の運動がすごいことになるので、
そんなに速くは弾けない...はず....
僕がタイで試したギターも
相当な巨人で手の大きな人もかなり速く弾くのは困難そうでした。


そういったことを踏まえて、
僕は今、7弦に低いラ(⑤弦の一オクターブ下)を張って
⑧弦に⑥弦の1音下のレを張っています。

これだと、⑦弦はかなり自由に左で押さえられる距離にあるので、
番外弦の音のほとんどはカヴァーでき、
距離もそんなに離れてないから、
従来、モダンの⑥弦の楽器で弾くような速度で弾くことができます。

時折この⑦弦をシにしてみたり、
⑧弦をEフラットにしてみたり、
いろいろ遊べます。

今のところ、
コスト、メルツは楽譜そのままの音の高さを全て再現できます。
けっこうやみつきです。
(ただしコストのギターの高いレは例外、
僕の現状は最高音がド ですが....
いずれ増やすか........)

最初に書いた、
時代によって違う調弦、というのは、
例えばダウランドとかは
従来、ギターよりも短3度高いチューニングというか、カポにしていたところを、
ちょっと前にリュートの巨匠のポール・オデットさんが、
それより全音低い音程の方が
音楽が伸びやかだ、といって、
低いチューニングで録音した素晴らしいダウランド集があるのですね。

それに倣って、
例えば1カポにして、
⑦弦をド 、⑧弦をその短3度上のミのフラットとかにチューニングすると
ダウランドの書いた音はそのまま弾けるわ、
響きは美しいわ、で、
(たどたどしくも試行済み)
本当に楽しそうなんですけど、
ダウランドということで③弦も半音下げるので、
そうした時点で、もうこの調弦はちんぷんかんぷんになってしまい、
しばらくお預け、
でも、近々必ずチャレンジします。

何はともあれ、
今は19世紀半ばのギター音楽とその周辺にあったクラシック音楽に
フォーカスしています。
























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