僕とイェスタデイ

アルバム『ギターは謳う』
のサブスクリプション配信が始まり、
たくさんの方に聴いていただけているのが
とても嬉しいのですが、
中でも
あっという間に聴取回数一位になってしまったのが
「イェスタデイ」

これは、Spotifyで
クラシック音楽のプレイリストに
選んでいただいたことも
大きく影響しているのですが、
僕はそうでなくとも
このイェスタデイに
いつも助けられているのです。


思えば
武満さんが
「この人に自分の全作品を録音して欲しい」
と言ってくださった直後に、
この「イェスタデイ」の編曲について
質問しようと音源を作っていたところ、
武満さんが亡くなってしまわれたこと。

それから、
何十年も経ち、
サイトウキネン・フェスティバルで、
武満さんの作品コンサートがあり、
僕は武満さんの曲をいくつかコンサートの中盤に弾く係だったのですが、
主催者さんが、アンコールでもう一曲弾いてください、
というのです。

実はそのコンサートは、
サイトウキネン・オーケストラでも重鎮の
長年素晴らしい活動をされてきたマエストロの
還暦年にあたるので、
その武満コンサートのラストも、
そのかたを中心とする室内楽にプログラミングされておりました。

なのに、
なぜそのあとで僕が出て行ってアンコールを弾く必要があるのか、
もう賛否両論。

で、
本番当日、
僕がアンコールを辞退すると、
製作サイドは
そういうわけにいかないので、やはり弾いてください、
と言い、
演奏者サイドは、
やっぱそうだよね、それが自然だよ、
と言う。
板挟みになった僕は、
当初のアンコール曲「失われた恋」をどうしても
心理的な追い詰められ感により弾けず、
これは決定事項なので、と送り出された舞台で
急遽「イェスタデイ」を弾いたのでした。

結果、なんとラッキーなことに、
小澤征爾マエストロが、
俺はこの曲は涙無くして聴けないんだ、
と言ってくださったとのことで、
無事全員納得。

僕は窮鼠猫を嚙む、みたいな演奏だったと思うけど、
本来最後の曲で第一ヴァイオリンを弾かれていた
潮田益子先生が、最後の最後、
楽屋の廊下ですれ違いぎわに
「ブラヴォ!」と声をかけてくださいました。



そして月日が去り、、
今度は伊藤ゴローさんんプロデュースの
アコースティック・ギター・サミット用の動画を撮ると言うので、
行ってケースから出したギターでとりあえず弾いた演奏が、
ものすごくたくさんの皆さんにご覧いただいています。

そういえば、
5年前の没後20年イヤーに
NHKのテレビで弾かせてもらったのもこの
「イェスタデイ」でした。

他にもいくつかのエピソードがある気がいたしますが
そのようなわけで、
武満さん編曲の「イェスタディ」には
いつも窮地を救ってもらい、
なおかつ自分を表現させてもらっております。


僕は時々、
サビの部分の
Why ..She .had to go~
と言う部分を口ずさみながら弾くことがあるけど、
それは、
自分が20代の頃にした、
とても自分本意な、
当たり前の失恋を思い出しているから。

男はどんなに自分が勝手な振る舞いで見捨てられたとしても、
なぜ彼女は行ってしまったんだろう??
と言う疑問を投げかける妄想癖が残されています。

そんな悲しさをも含めて、
いつも弾いています。

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