モーツァルトのソナタK.331のフルート&ギター編曲について

モーツァルトの有名な“トルコ行進曲付き”ピアノ・ソナタK.331は
フルートとギターにとても相応しいレパートリーです。

もともとモーツァルトのピアノ・ソナタを
フルートとギターで演奏するというのは
ヨーロッパではとても盛んです。
古い話ですが94年にチェコのプラハに行った時も
教会などでモーツァルトのピアノ・ソナタを数曲プログラムした、
フルートとギターの演奏会のフライヤーを見た記憶があります。

僕がこの曲を
フルートとギターで最初に聞いたのは、
確か高校生くらいの時に、
工藤重典さんと福田先生が演奏会で演奏されていたのを
FMで聴いた時です。

このコンサートはとても素晴らしいコンサートで
エア・チェックして何度も何度も聞き返しました。
確か、数週間前に友達から送られてきて、と言って
福田先生がローラン・ディアンスのサウダージ第3番を日本初演してたんじゃないかな...??

で、お二人のK.331の演奏の編曲は、
もともと福田先生の先生で、僕もお会いしたことのある
斉藤達也先生が編曲されたものをもとに福田先生が再編曲し、
フルート・パートを工藤さんが監修されているので、
現代ギターから出版されたその楽譜には、
斉藤達也・福田進一・工藤重典編曲
と書いてあります。

そうです、今思い出しましたが、
僕は高校生でした。
友達とトルコ行進曲だけ演奏した記憶が....


プロになって、
その思い出があったのですが、
福田先生バージョンはギターが旋律を弾くところがあって
難しいと思ったので、
ヨーロッパで定番の
ペーター・ルーカス・グラーフ/コンラート・ラゴスニック編を手に入れて、
岩佐和弘さん、それからピルミン・グレールさんと演奏しました。
岩佐さんとは昨年も演奏しました。

僕は楽譜が大好きなので、
それ以外の編曲も目に留まると集めているのですが、

このソナタにはもう一つ、とても面白い編曲があります。

それは
上記のグラーフ/ラゴスニックも自身の編曲譜の序文でふれている事ですが、
1803年にヨハン・トレークJohann Treagによって出版された
このソナタをもとにした自由な編曲です。

自由、というのは、トレークは
このK.331のソナタのメヌエットのトリオとトルコ行進曲の一部をカットし、
第1楽章の主題と変奏の後に、K.332のピアノ・ソナタのアダージョからの一部を
挿入して第2楽章にしているのです。

トレークのような、自由な態度というのは、
もっと自由なのがカルリによるギター・デュオのためのベートーベンの編曲などにありますが
要するに19世紀前半までは、
家庭でのアンサンブル用の、あるいはサロン・コンサート用の編曲というのは、
有名な作曲家の作品を下敷きに自由に編集したもので良かった、
オリジナル通りである必要はなかった、という事ですね。

ま、でも僕たち、
現代の人間が、ポップスや映画音楽を編曲する態度も似たようなものですね。
やはり過去の時代のものを編曲しよう、という話になると急に、
原典至上主義になってしまうのかもしれません。

同時代というのは
このトレークさんの編曲を1978年に再出版したニコラス・デリウス氏によれば
ヨハン・トレークは1748年生まれ、つまりモーツァルト(1756-1791)より
年上ということになるので、
同時代も同時代、
むしろちょっと先輩による編曲ということになりますね。


今回、
工藤重典さんと初めて僕がこのソナタを(原典のピアノ・ソナタ通りに)
演奏するに際し、
福田先生と斉藤達也先生の編曲に、
上記、グラーフ/ラゴスニック編とトレーク編を参照して
ギター・パートだけさらに再編曲し、
自分のバージョンを作りました。

いわば、
斉藤達也先生、福田進一先生、鈴木大介という、
師弟3代による編曲です。

どんな風になるのか、
とても楽しみです。























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