“中止”や“延期”を“停止”にしないために〜再度の落胆と音楽のカタストロフに備える方法を

GWのステイ・ホーム、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

これを書いている4月27〜8日現在
東京都の感染者は減っているのではないか、
あるいはニュージーランドはコロナ・ウィルスに勝利宣言、

などのニュースがある一方で、

中国や北海道で二次感染が始まり、
再罹患する患者さんも出ているのではないか、
などの情報も。


自分の身の回り、身近な出来事としては、

人生初、動画を作成するお仕事をもらいました。
また他にも、
キャンセル公演について、今後それらの公演を復活させるのではなく、
CDなどの録音物や、映像コンテンツにまとめる可能性、というのを
具体的にお話しし始める事例が複数起こり始めました。

実は密かに進行し、コロナ禍で中止になった中国公演が、
先々週くらいでしょうか、
やっぱり開催できるんじゃないか、と中国側から連絡をもらいました。
(恐らく今週はすでに状況が変わっているかも、と推察しています。)

この他の皆さんの取り組みもあります。

僕自身はまだ関わっておりませんが、
仲間のミュージシャンから聴いた情報では、

● Zoomでレッスンを始めた
● (無料)配信用の動画コンテンツを作った
● 手持ちの音源をダウンロード販売できるサイトが作られた
● 投げ銭でジャズのライヴを開催した

など、新しい動きが起こっています。


僕はクラシック音楽の事務所に所属させていただいてますが、
クラシックのお仕事というのは半年から一年以上先の予定で入ってきます。
事務所からいただく実施までの期間が半年以内のお仕事というのは
放送関係、クローズドがほとんどなんです。

ですので、向こう3ヶ月くらいで、
こことここはかなり空いていて、
ホールの公演に影響がないだろう、と思う範囲で
小さなお店などでJazzミュージシャンの仲間の皆さんたちと
演奏する仕事などを僕が個人的にブッキングしています。
小さなライヴは、チケットを売るのではなく
予約制で当日精算なので
立ち上げ(告知)から実施までが素早いのです。
(もちろんそのことによる妥協点も多々あるのですが。)


なんでこんな個人的なお仕事の仕組みをお話ししたかと言いますと、
現在、そしてこれからのコロナ・ウィルスとの闘いの中では、
このジャンルの異なる業界の仕組みが、
如実に現況に反映されて来るであろう、
と思っているからです。




クラシックのコンサートの場合、
(あるいは大規模なポップスのコンサートでは尚更ですが)
チケットは予め委託業者やホールのチケット・センターを通じて売られています。
客席も多いので、告知から開催まで短くて3ヶ月、通常は半年またはそれ以上費やします。

つまり、このイベントをキャンセルした場合、
チケットの払い戻しにかかる手数料、当日知らずにいらしてしまうお客様への対応、
など、多くの手数と経費がかかってしまい、それらは主催者負担となります。

そして同時に、開催までにかける期間が長いため、
もし延期にした場合でも、それは半年先、あるいは一年先となります。


ここで僕が気にしてしまうのは、

この対応は今後も複数回にわたって可能であるのか、ということです。



あまり後ろ向きな想像はしたくありませんが、
最初に例をあげた最近の情報から推察すると、
もしかしたら自粛や緊急事態の縛りを緩めて
通常の経済活動に少しずつ戻したとしても、
新たに、時には変異してより驚異的なウィルスが
再度襲ってこないという保証はありません。


ということは、
少なからずこれまでも大きな興行というのは
賭けの部分を持っていましたが、
(↑出演者の傷病、天災、主催者の倒産etc.によって
開催が不可能になる可能性を含んでいるため)

さらにそこにウィルスという要素が加わり、
大きな公演の立ち上げに対するリスクは計り知れないものとなりました。


クラシックの音楽業界だけに関して言えば、
現在のところ、中止もしくは延期になってしまった公演の
キャンセル対応に多くの時間を要し、
次の公演の可能性を祈って待つ、
あるいは新規または延期公演を立ち上げる
という反応が未だ主流です。


ですが、
テレワークでの合奏や無料動画の作成だけではない、
まったく今までに存在しなかった新しい業態を開発する事が、
今後の急務となることは明らかです。


すでに、配信のコンサートの可能性やスキームを
さぐったり、トライしているお話を伺って、
とても頼もしく思う事がありますが、
勇気ある人たちだけに任せておくのではなく、
全体がそのことを考えるタイミングがきています。



これまでのコンサートのやり方をなくす必要はありません。


ただし、
立ち上げから開催までにあまりに時間がかかっているという
クラシック業界の慣習のため、
例えば外出自粛要請が取り下げられたとしても、
すぐにコンサートを開催できる仕組みがありません。
そして、次の開催の準備をしている間に、
再度、緊急事態宣言が発令されてしまうかもしれません。


このことを繰り返せば、
確実に、音楽業界に携わってくださっている関係の方々が
減っていってしまうことになりかねないのではないでしょうか。

とっても乱暴なことを言ってしまいますけど、
コンサートを開催することに限って言うと、
演奏や出演する側は、それに専従するプロじゃなくても
いくらでも廻るでしょう。
ベートーベンの時代のオーケストラはプロアマ
混合だったそうです。
(これを僕が言うのもちょっと自虐的😓)


ですが開催を支えてくれている業界のプロフェッショナルの皆さんは
一度失ってしまったら取り返しがつかないような気がしています。



私たちが家にいるのは、
ウィルスをなるべく増やさない、勢いづかせないためです。
そして医療機関で最前線に立って働いてくださっている方々のご負担を
できる限り減らすためでもあります。


それは「我慢」でしょうか?

それよりもさらに能動的で意志の強い
「人と自分の命を守るための闘い」ではないでしょうか。


だとしたら、
命を守りながら、
生きていくための、そして音楽を通じて
多くの人々の気持ちを和やかにするための
新しい努力を全力で探すのは
無意味なことではありません。



とはいえ、、、



もともと、
特にオーケストラのコンサートなどの場合は、
莫大な人件費と、上質な会場が必要となるので、
例えば良い会場だったら設備使用費を賄うだけでも
ちょっとやそっとではないんですね。

それと、言い訳めいてしまいますが、
アンプを通じてスピーカーから音が出ているポピュラー系のコンサートの場合、
いつでも収録できる状態に音が出来上がっているので、
それを配信用にオーサリングするための道順は
ある程度見えています。

が、コンサートホールにマイクを立てて、
スピーカーを通さない楽器から出ている生の音を
きちんと集音して、配信してご家庭のシステムで聞いていただいても
ある程度、満足していただける状態のものにする、
と言うのは、実はこれまでも実験的に有料配信というのを
僕もやったことありますし、
外国のオーケストラやコンサートホール、オペラ劇場などは
独自の配信のチャンネルを持っていたりもするんですが、
日常的に行うとなるとかなり大掛かりな話なんですね。

ですので、
コンサート配信への移行に一番時間がかかりそうなのは、
クラシック音楽である、ということは最初から明白なのです。


ですが、「コンサートを配信する」
ということにとらわれすぎず、
これは思いつくままの一例ですが、
1日、どこかのスペース(可能であればホール)を使用して
複数のアーティストのまとまった楽曲演奏を撮影し、
それを一曲500~800円くらいの値段から販売する、
ということも考えられます。

テレビ番組で
リサイタルなどを放送してもらえるのは、
BSや外国の超大物アーティストが主体になっているので、
大きな曲を一曲まとめて映像とともに聴いていただける機会は
テレビでのリサイタル番組がたくさん作られていた20世紀からすると
かなり減っています。

YouTubeもあるけれど、
皆さん、YouTubeで30分の曲を最初から最後まで聴かれたことって
今までどのくらいありますか?
(とか言いつつ僕はかなり重宝して観てるのですが😅)

ヨーロッパなどでは
リサイタルやコンサートを丸ごと
つまり2時間前後のものをYouTubeで観ることができますね。
ですからそれと同じものを有料にするだけではだめなのですね。

何か別の方法。
例えば、
コンサート丸々配信ではなく、
ある曲目、やテーマを持ったプログラムと
その解説をセットにしたコンテンツ。


ブラームスのバイオリン・ソナタを一曲
映像付きでじっくり鑑賞したい、
というニーズは今でもあるのかもしれませんし、
昔のCDやレコードは解説がついていて、
曲の理解を助けてくれたのですが、
今はサブスクリプションだからそんなのついてないので、
そこを補ってくれる映像コンテンツ。


その際、課金は登録制でひと月数千円というのが
これまでのところ妥当なのかもしれませんが、
その場合は即座にチャンネルとして運営する体力が必要になってしまうので、
コンテンツを作ってそれぞれ単独に買えるようにして、
映画などを配信しているU-NEXTやアマゾン・プライムなどの
金額や手軽さに近づく事も考えられると思います。

さらに、学習者の皆さんのために、
課金の額に応じて
映像のアングルを増やす事ができたり、
音のサンプリング・レートが上がる、
ということも考えられます。

音楽配信販売は、
違法コピーやコンテンツの価格の高さ
(音のデータを買うのとアルバムのパッケージ製品の値段がほぼ同じ)
という問題を、おそらくクリアーできず、
定額聴き放題のサブスクリプションに移行しましたが、
作る側から見ていると、
あれは微妙に問題をはぐらかされたというか、
すり替えられてしまった感も否めません。
(ですがこれも僕はめっちゃ重宝して利用しています。)

一般向け配信映像コンテンツは
基礎の価格を、思わずスマホなどで見てしまうような
価格に設定できるかどうか、が
ネックになってくると思います。


正直、上記の例は
僕のような素人の思いつきなので、
もっといい方法があるはずだと思います。
そのためにも、自分はこんなふうに思う、
と言うアイデアを踏み台として記してみました。


いずれにしても、
そのような新しい内容の配信形態を開発することで、
たしかにバブル期に成熟して現在まで続くコンサート収支の金額に比べたら
雀の涙かもしれませんが、
リモートワークでの最小限の手間と経費によってスタッフとして関わっていただき、
少しずつの利益をわかちあえる方法はあるのではないでしょうか。

それらは
少し前までは馬鹿馬鹿しい、と一蹴されてしまった案件かもしれませんが
今は、マイナスをゼロにし、ゼロをわずかなプラスにすることに
あらゆる労力を注ぎ込んで良い時期ではないかと思います。


演奏家サイドでは、
レッスンをしたり、
個別にコンテンツを作って、個人レベルのやり取りで買ってもらったり、
何か他にも多くの発信方法を開拓していけると思います。

ですが何より、
これまで演奏会の運営を担ってくださっていた
クラシック音楽業界のスタッフの皆さんと
同じ方向を向いて新しいスタイルを創出していきたい、
というのが最近の願いになりつつあります。







追記

ところで、
クラシック音楽業界の業態は立ち上げから実施まで
とても長い時間がかかることをお話ししましたが、
20世紀前半の音楽家たちは、
例えば数週間の予定で演奏に訪れた国に
あまりの評判の良さに数年住み着いてしまった、
とか、滞在を伸ばした、
なんていう話を聴いた事があるような気がします。

その当時は、
クラシックのコンサートでも
スピーディなブッキングと開催がなされていたという事でしょうか??

あるいは滞在する音楽家を養う
パトロネージュが発達していたという事でしょうか??

僕は興味津々です。







































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