モーツァルト・ヴァリエーションズと黒田先生

9月の後半から11月の始めまで、
ほとんど休みなく色々な演奏会をやっていたので
ここに来て宿題が山積み状態です。
本当は受験生のように昼夜を厭わず練習しなければいけないのですが、
昼間はわりと打ち合わせや取材のために出かけているので、
合間合間に練習です。

2006年に、
『モーツァルト・ヴァリエーションズ』というCDを作りました。
http://www.billboard-japan.com/goods/detail/19093
その時、たまたま、確か雑誌の対談でお会いした黒田恭一先生に、
CDのブックレットのための一言をお願いしたところ
快く引き受けてくださり、
とても素敵な推薦文を書いてくださいました。

黒田恭一先生は、
NHKなどで、歴史的な名演奏の映像特集をすると
必ず解説に出演されていたような方で、
ですが、オーセンティックな音楽のみならず、
ピアソラなどのオルタナティヴな音楽にも
たいへん広範な知識をもたれていました。
僕はその屈託のない、権威主義的ではないのに
アカデミックな含蓄が誰よりも広く奥深い
先生のお人柄をとても尊敬していました。

この、
『モーツァルト・ヴァリエーションズ』というCDは、
収録曲が僕のCDの中では、唯一古典のみ、ということで、
たくさんの方に親しんでいただきました。
筑紫哲也さんも、お会いした時に、
「よく聴いてるよ」とお声がけくださいました。


この19日、
王子ホールで「くろださんのいるところ」
という、生前の先生を慕っていた仲間によるトリビュート・コンサートがありまして、
僕はそこでやはり、
何か「モーツァルト的なもの」を弾くことになったので、
CD収録曲ではなくて、
兼ねてから興味を持っていたある作品を演奏することに。
くろださん_A4_4c_0929.jpg


それは、ジュリオ・レゴンディの
「(タールベルグの作品の引用を含む)ドン・ジョヴァンニによる独奏曲」
という、不思議なタイトルの曲です。

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これはギターの天才少年であったジュリオ・レゴンディが、
17才の時に、当時のリストと並び称されるほどの
ヴィルトゥオーゾだったピアニスト、ジギスムンド・タールベルクの
同様の作品からの編曲を含む形で作り上げた変奏曲です。
主題はおなじみ「お手をどうぞ」。

これはとても面白い作品で、どこが面白いかというと、
レゴンディの部分とそうでない部分があるにもかかわらず、
とても自然な流れであることと、
ロジカルな部分でとても効果的に音楽が設計されている、
ので、練習をしていて各部の整合性の噛み合わなさに
ストレスを覚えることがないのです。
これは、ちょっとわかりづらい問題なんですけど、
他の楽器の古典の曲を精査したことがないからわからないけど、
ギターの古典の曲は、ミス・プリントやら楽器の制約やらで、
とにかく論理的じゃないので、丸暗記するしかないんです。
でも、この曲は、考えたら必然的にそうなるような展開しかない。
とても弾きやすいのです。。音多いけど。

全部こういう曲だったらいいのになぁ・・・・

というわけで、
パラパラとたくさん音がありますが、鋭意さらっておりまする。

スケールやアルペジオなどが
整然としたトライアードのドミナントからトニックの進行で並んでいる曲は、
その速度が速すぎると色彩を失うし、
その速度が遅すぎると生命力を失ってしまうので、
ストライク・ゾーンが意外と狭い、
そこを狙っていくのも面白いところです。















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