表現主義と発明主義

Inventionism、という言葉は存在しないのでしょうか?

ギターの現代音楽には
明らかにこう呼ぶのにふさわしい楽派があります。

ギターには、奏者でないとすぐに思いつかないような
倍音の出し方や、
左手のスラーを組み合わせたり、
開放弦を有効に活用したりすると、
ピアノの鍵盤状では考えられないような
レガートやダイナミズム、
速いフレーズを弾くことができるので、
ギターに精通した作曲家、つまり
ギタリスト・コンポーザーと呼ばれる人たちは、
この技法を有効活用して、
ギター弾きに、気持ちのよい指の動きで、
どうやってるんだかわからないようなかっこいいフレーズ、
を発明してくれているのです。

現代において
その代表格は文句なくレオ・ブローウェルでしょう。

とても逆説的なのですが、
ギター弾きは、ブローウェルの曲を弾く時の
気持ちよさ、というのを間引いて音楽を見つめられないので、
その作品の素晴らしさ、にたいする評価が、
ギターを弾かない人とはまったく違うところにあるかもしれません。

ギタリストが、
ある程度の修練の後に心地よく弾くことができ、
それが音楽的に見て非常に斬新な表現になっている、
というところが、
Inventionistの真価だと思います。

その意味ではソルもヴィラ=ロボスもそうなのですが、
二十世紀以降の音楽の方が、
テクスチュアに縛りがないので
ギター的な語法を自由に展開できるため、
新しいギタリストによる音楽がたくさん生まれることになりました。

ローラン・ディアンス、カルロ・ドメニコーニ、
いろいろたくさんの作曲家がいるなかで、
僕が今練習しているエグベルト・ジスモンチの
「セントラル・ギター」は、
かなり高度な2面性を両立していると思います。

まず、
とても美しく、しかも前衛的に聴こえます。
ある部分などは、
ピアノでこのまま弾いても美しいでしょう。
新ウィーン学派の無調音楽や、表現主義的でもあるし、
同時にフランス音楽のような、新古典主義的な部分も持っています。

それが、弾いていると
ギターのありとあらゆる特殊奏法を駆使した、
まるでスポーツ、あるいはゲームのような
遊戯的楽しみを兼ね備えいる。

かなり高度な2面性、というのは、
かなりお得な一石二鳥ということでもあるので、
僕はこの作品が提示している世界を、
あ~、こんな弾き方もあるよな、
という風に通り過ぎるのではなく、
じっくり発展させてゆく方法もあるな~、
と、2012年にこそ、あらためて思う次第です。


ところでディアンスといえば、
実は僕、今では全然弾きませんが、
学生時代に、その当時出版されていたものは
ほとんど弾きました。

サウダードNo.2とか、かなり得意で、
よく営業で弾いていました。

この前、現代ギターのサマースクールで
福田先生が
「リブラ・ソナチネの日本初演て、大介だよなぁ?」
と言ったときの、
今時の若者たちののけぞりかえって驚きようは見物でした。

もう、上手い人たくさんいるから弾かないけどね。

この記事へのコメント

天空仙人
2012年11月19日 23:51
かの有名な黒蜥蜴の作曲家がかいたギター作品の初演も大介さんでしょ~お怒り(ムカッ)
来年の合宿で弾いて欲しいな♪
charo
2012年11月21日 21:03
レオ・ブローウェルの「11月のある日」が大好きで、時々聞きます。あのメロディーに、懐かしいほっとした暖かさとそして哀愁とを感じさせられます。心地よい気持ちにさせてくれます。いつか、鈴木大介さん 熱い演奏で 私たちに届けてください。

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