猿谷さんと僕

7月に入って、
にわかに加速しているのが、
12月のコンサートの準備。

まだまだ先ですが、
2004年~2006年の「ギター・エラボレーション」シリーズ以来、
久しぶりに自分で開催するリサイタルなので、
ゆっくり準備して、自分の最高のものを出せたらいいな、
と思って、いろいろな準備をしています。

自分で開催するリサイタル、と書いたけど、
じゃあ、何が普段のコンサートと違うのかというと、
普段のコンサートは、
ご飯屋さんで言えば、
お客さんが、
メニューから好きなものを自由に注文できるア・ラ・カルトや
その日のおすすめの中から自分でコースを組めるプリ・フィクス
だとすると、
自分のリサイタルは、
お品書きなしで、その日に一番良いものを、
僕が思った組み立てで食べてもらう感じです。
まあ、その日と言っても
プログラムの大半は半年前から準備するのですけど。

で、今年12月のリサイタルは、
3つの楽しみにしていることがあります。

①留学中に、
ホアキン・クレルチがニコラウス・アーノンクールに教わった
そのままを伝授してくれた
バッハの「前奏曲、フーガとアレグロBWV998」を
13年ぶりに人前で弾く。
(これは今年これからぽろぽろ他でもやりますが。)

②去年、所沢で初演した、
池辺晋一郎先生の「ギターは耐え、そして希望しつづける」
を、東京都内で初めて公式に弾く。

③僕がデビューしたての頃から、
とても近しくつきあい、お世話になっている
猿谷紀郎さんが、
彼にとって初めてのギター・ソロ用の作品(編曲はのぞく)を
書いてくれて、初演する。

猿谷さんには、
ほんとうにずっと曲書いてほしかったのです。

最初は、1997年の、
オンドマルトノとギターのための
「エミッション」
これはすごい勉強になりました。
アコースティック・ギターなんだけど、
エレキっぽいフレーズ。
この時、初めて会った猿谷さん、すごい面白い人だと思いました。

それから1999年、香津美さんと僕のために書いてくださった
「虹のあしおと」
これは初演が2000年のお正月、
その後とってもお世話になることになる
新潟県の「りゅーとぴあ」さんの能舞台で演奏しました。
この時、そういえば、ふたつの新幹線事件が。
行きは、東京駅に西葛西の友達の家から行こうとして
前の晩飲み過ぎ、完全に寝坊して新幹線に乗り遅れ、
武満さん、香津美さんたちを、
新潟の駅で思いっきりお待たせしました・・・・
若気の至りです。
帰りは帰りで、
打ち上げで飲み過ぎ、
猿谷さんと二人で、やっとの思いで新幹線に乗ろうとしたんだけど、
なんか、時間が近づいても列車の清掃の終わる気配がない。
遅れてんのかな~、とふたりで言っていたら、
階段おりて向かいのホームで、
「○番線、東京行き、間もなく発車いたしま~す」
「!!!!!」
そうです、ホームが違ったんです。
猿谷さんと楽器とスーツケースもって全力で走ったなぁ・・・

次は、2000年に古部くんと一緒に出光賞の授賞式で演奏した
「音の風韻」
テレビで放映されました。
録音もしたし、猿谷さんの曲の中では
一番たくさん弾いたかな。

そして、この曲を
協奏曲にして、大阪シンフォニカーさんと初演したのが、
2005年の「音の風韻Ⅱ」。
この時は寒かったな~。
オーケストレーションが激しいのに
ギターが生で聴こえてびっくりしました。
また弾きたいな。

そして、2007年、木村かをりさんのピアノのコンサートで
共演させていただいた
「すさのつらなり」。
なんか、前半のギターのカデンツァが
すごいかっこ良くて燃えました。
この作品の演奏が、
今こそ猿谷さんにソロを書いてもらわないと!
っていう、確信につながりました。

ひとりの作曲家、
しかも、世界中でその作品が演奏される音楽家と、
これだけ、何回も共同作業が出来るのは
ほんとうに幸せなことです。
ちなみに猿谷さん、
伝説の3冠馬「ディープインパクト」の音楽も書いてるんですよ。

僕自身に、今までは迷いがあって、
なかなか、猿谷さんに曲書いてください、
ってお願いできなかったんです。

その間、
一緒にお酒飲んだり、
生意気言ってけんかしたり、
猿谷さんの曲の演奏をオーケストラで聴いて
泣きそうになっちゃったり、
いろんなことが、
仕事の上でも、個人的にも起きて、
猿谷さんもわりと僕のそういうこと、
知っててくれてます。

これからは、
少なくとも自分自身の意思で、
自分の進む先を決めていけそうな予感がしているので、
ほんとうに充実した作曲家と演奏家のつながり、
僕の努力で、世界に発信できるつながりを
作って行けたら、って思っています。

もちろん、
他の若い作曲家のみなさんたちとも。

でも、思い出がほんとうにたくさんありすぎるので、
旅の出発は、猿谷さんにお願いしたかったのです。


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この記事へのコメント

ゆっこ
2008年07月07日 21:03
なんとも魅力的な企画が進行中ですね。

武満さんを待たせるなんて、すごい!!!!
いまや良き思い出ですなあ。
結局新幹線には乗れたのでしょうか?

大介さんが一つ一つの曲に想いを持っていらして、演奏したその瞬間をも大切にしていらっしゃると知ってとても温かい気持ちになれました。ありがとう!

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