子供の頃、「オリエンタル」とは、「郷愁」っていう意味だと思いこんでいた。

グラナドスのスペイン舞曲第2番は、
「オリエンタル」というサブタイトルで知られています。

ギターだと、普通は二重奏で演奏される曲です。
プレスティ&ラゴヤ、ジョン・ウィリアムズ&ジュリアン・ブリーム、他、
名演もたくさんあります。

この「オリエンタル」を、
ひとりで弾けるようにした譜面が、
昔、阿部保夫先生の出版されていた
全音版のアルベニス・グラナドス曲集に載っていました。

僕に最初にギターを教えてくださった
市村員章(かずあき)先生は、
たいへん基本や古典を大切にされる方だったので、
僕も高校に入るまでソルとかジュリアーニとかバッハばっかりで
スペインものなんか絶対弾かせてもらえなかったのでした。

今から振り返ってみると、
それはたいへんありがたいことで、
だからこそ、現在に至るまで
ひとりでやって来れたのだと思いますが、
当時としては、そうだな~
まわりがみんな弾いてたからな~。

コンクールとか出ると、
他の人はモレノ=トローバとか、バリオスが自由曲なのに、
僕は、ソルのソナタだったり、ジュリアーニのソナタだったり・・・・。

思春期なのにに半ズボンと白タイツ、
ワイシャツにサスペンダー、とどめが蝶ネクタイ、
みたいな感じって言えばわかってもらえるんでしょうか。
ちょっとおおげさか・・・・

ま、いずれにしても、
早くジーンズにスタジャンでバイクに乗りたいわけですよ。
その年頃は。

それで、中学の終わり、くらいから、
ようやくお許しが出てタレガなんかを教えていただいて、
(もちろん「アルハンブラ~」はそれ以前に密かに自習していたのです、
故あって→http://daisukesuzuki.at.webry.info/200603/article_23.html
だんだんアルベニスなんかも弾けるようになってきて、
なんとかして人が弾かないものを弾いてみせようと思って
自分で練習したのがこの「オリエンタル」でした。

最初の、アルペジオにメロディーが3度のハモりでのってくるところの、
左手の押さえ方が異常に難しいんです。
それで、ギター弾いてた高校の、女の先輩に、
「ダイスケくん、それ、よくとどくわね。」
って言われて、有頂天になったものです。

で、今度レコーディングするので、20年ぶり(うわ~(- -;))
に練習しております。
それどころか、
編曲最初から自分でやり直して、書いてみました。
それなりに、個性は出せてるのでは・・・・。

「オリエンタル」って、
もちろん「東洋風の」という意味なのですが、
僕はこの曲のイメージがある子供の頃の体験と
いつの頃からか密接にリンクしてしまって、
そのせいで、わかりやすく言ってしまうと
あたかも「小さい秋見つけた」を歌ったときのような、
茅葺き屋根の家の前でたき火をしているみたいな、
切ない、懐かしい気分になってしまうのです。

小学校4年の頃、バスと電車を乗り継いで
その市村先生のギター教室に通っていて、
その教室は叔母の家の近所だったのですが、
ある時、母と叔母がものすごい姉妹喧嘩してまして、
そういう時に限って、帰りの電車賃を忘れて出かけてしまったんですね。

それで、叔母の家に寄って電車賃借りようと思えば借りられたんだけど、
それでは母のプライドを傷つけて機嫌を損ねるんでは、と思い、
気合いと根性で、バスの回数券が使える場所まで
(回数券は持っていた)
電車でいうと2駅くらいかな、歩いたんです。

その時に、もうなんか不安で不安で、
菊名というところまで来て、
裏道に、すごく古めかしい、威厳のある垣根の家があって、
そこの木に柿がなっていて、その向こうの山が、
夕日で真っ赤になっていて、それを見たら、
子供だからいきなり泣き出しそうになってしまった・・・・
そのときのことを、思い出します。
たいへんに、個人的な話で恐縮です。

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この記事へのコメント

bsb
2007年01月11日 11:30
ヴィクトル・エリセ監督の「エル・スール(南)」という映画の中で、この音楽が美しく流れます。もう20年以上前の作品ですが、機会があれば是非ご覧下さい。大介さんの編曲にも期待しています。

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