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zoom RSS 「波の盆」と「今朝の秋」

<<   作成日時 : 2016/06/21 02:46   >>

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昨日から配布されているタワレコさんのフリーペーパー、
intoxicate誌にも記事を書きましたが、
武満さんの映画音楽を調べていると、
同じ時期に書いたコンサート用の作品がふと顔をのぞかせたり、
他の映像作品と関連性のあるモチーフが出てきたりして
興味がつきません。

美しい旋律で有名な
「波の盆」は、ハワイに移住した日系人の物語です。

今回はメイン・テーマをソロ用にアレンジしましたが、
イントロダクションのスコアを読んでいると、
きらきらとしたハーモニーの断片が連なっていく中に、
不思議な和音が一つ出てきます。

管楽器のアンサンブルで、
F#-C-Ab-Aという和音の上に
チェレスタでD-F-Aとなっていて
ちょうどD7系の和音にDマイナーが乗っかった感じ。


この響きを何度も聞いていると、
ギターの曲、
例えば「森のなかで」の「ローズデール」に出てくる
F#-C-F-Aという和音の響きに酷似している気がしてきます。
というか、ギターの方はオケの簡略版に聴こえます。


不思議なもので、
そのような体験をすると、
いつも慣習的に弾いていた
ギターの4声の和音が
とても多義的に聴こえてくるし、
さらなる色彩をともなって認識されるようになります。


昔読んだジャズ・ギターのガイドブックに、
なるべく4声で全てのコードを表しなさい
みたいな課題があったような気がしますけど、
ギターの場合はその和音の持っている倍音や響きを含めて、
弾いていない音をも表現するところが
魅力なのだとあらためて思います。


一方、有名な「波の盆」とは別に
今回見つけた「今朝の秋」というドラマの音楽には、
ちょうど同じ時期に作曲していたと思われる
ギターの為の「すべては薄明のなかで」
が、半音高いキーでそのまま登場します。

そこに至るまでの前奏やメロディーの前半部分も
ドラマに登場する蓼科の自然を思い起こさせるような
モリコーネもびっくりの心を揺さぶるメロディーです。

後半のギターのところはそのまま抜き出し、
前半のオーケストラの部分をアレンジして
ソロで弾けるように編曲しました。


ちなみに、
この二つのドラマ、
どちらも主役は笠智衆さん。

恐るべし笠智衆。
小津映画のみならず、
淡々とした深い演技で
テレビドラマにもこんな名作も残していたなんて。
もう、笠智衆見ただけで
今の僕はちょっと泣けます。
































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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
波の盆は私の一番好きな曲
天空仙人
2016/06/24 10:26
波の盆、ほんとうに素晴らしいですよね。
この曲の甘さ、切なさ、もろさ、はかなさは、モリコーネを凌駕しています(笑)。
個人的にNovecentoのOlmo e Alfredoに並んで好きです。

> F#-C-Ab-Aという和音の上に
> チェレスタでD-F-Aとなっていて
調性的といわれる後期の作品のなかにも、こういった響きがけっこう挿入されますよね。重力と無重力の間をふわふわ浮かんでる感じがして、美しいです。

研究のために波の盆のスコアを手に入れたいのですが、残念ながら一般流通はしていないようで、どの大学の図書館も所蔵していませんでした…。(出版社からのレンタルって一般の個人でもできるのだろうか…)
saiougauma
2017/12/18 04:47

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