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zoom RSS 完結する保証はまったくないカステルヌオーヴォ=テデスコの解説 その1

<<   作成日時 : 2015/05/16 03:20   >>

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今日はとっても聴きたいコンサートがあったけど
我慢して、奏一くんとのリハーサル。


マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコの
「Les Guitares Bien Tempérées」Op.199
は、名ギターデュオ、プレスティ&ラゴヤのために
1962年に書かれました。

実は今回、
自筆譜を参照もしているのですが、
実際に出版されているように
6曲ごとにわけて書かれた自筆譜は
とても整然と浄書されていて、
音楽が聴こえてくるようです。


調性は
1.ト短調
2.ニ長調
3.イ短調
etc.

のように、
5度ずつ上がって長短を交互に転じてゆきます。

けれど、
たとえば2番などは、
曲の最後はイ長調で終始されていて、
自由な展開を見せます。



今日、
全曲ひいてみて、
これはコンサート時には解説したり
しゃべったりする時間の猶予も体力の余裕も
ないのではないかと恐れ始めたので、
極力、今日から少しずつ作品について書くことにしました。


演奏会までに全曲について
触れ終わるかどうか、確証はありませんが・・・・・(--;)


1番 ト短調
プレリュードはTrés fluide(流れるように)とあるごとく、
急流のようなスケールの動機と和音、
半音階のモティーフ、などの特徴的な素材が
交互に現れます。
スケールの音色とダイナミクスをコントロールして
曲にうねりをあたえるのがポイントです。
そして、アルペジョされる和音の固まりをひく時の
フォルテの作り方に、
我々はエリオット・フィスクさんから習った
アンドレス・セゴビア由来のあるトリックを用いることにしました。

フーガのテーマは跳躍と半音が組み合わされ、
寂しげで、ドラマティックな、
まさにスペイン起源のユダヤ人であるセファルディーの真骨頂、
とでも言うべき旋律。
プレリュードの半音動機を3度で重ねて
バッハのような使い方をしていると、
少し荘厳な、敬虔なものが現れるのが不思議ですね。


2番 二長調
フランス序曲のような始まり方をするプレリュード、
しかしながらそれは瞬時に、特徴的な付点のフレーズと、
5度を重ねたフレーズのキャラクターと同等の扱いになり、
最後はそれらが組み合わされて同時に響く、
という、カステルヌオーヴォ=テデスコの典型的な書法です。

1番に出てきたようなクロマティックのフレーズが
それらの合間に顔をだし、フーガの終結にも一役買います。
フーガは緩やかなジーグですが、イタリアの古い舞曲、
サルタレロや、タランテラに通じる雰囲気も持っています。


3番 イ短調
プレリュードはささやく疾風のようなフレーズの上に、
「プラテーロと私」のメランコリアのようなテーマ。
吹き抜ける風のようにさりげなく、素早く弾きたいです。

フーガは静かな巡礼のなかに
所々感情の高まるクライマックスが訪れる
感情の内なる宇宙を感じさせる作品。


4番 ホ長調
プレリュードは鏡面のように繰り返されるふたつのアルペジオに、
ロマンティックなメロディーが聴こえてきます。

打って変わってフーガでは、
森で小人や妖精が踊っているかのような!?
ファンタジックで可愛らしい音の綾が織りなされます。


5番 ロ短調
プレリュードは連続するアルペジオの掛け合いと、
付点音符で下降してくる旋律、
その後、葬送行進曲になって、そのままその旋律は
強めの感情を吐き出します。
アルペジョの音型がカデンツァのようになり、
感情が高まったあと一種の諦観のようなものがやってきて
ふたたび葬送行進曲に。

そのアルペジョをそのまま引き継いだフーガは
さまざまな転調を繰り返しながら
壮大なエンディングへと熱情を積み上げてゆきます。


6番 嬰ヘ長調
この曲集は平均律曲集なので当然なんですが、
ここから先普段では目にしない調号のオンパレードです。
ところが、このカステルヌオーヴォ=テデスコの曲集は
その上に、曲のなかでの転調が激しいので
例えばこの曲ですが、
♯が6個ついているので覚悟していると
7小節目にはすべて白鍵の音、つまりナチュラルになる、
という有様なので、
指以上に頭が鍛えられます。
このプレリュードも軽快で素早い音階列が繰り返されるなかに、
大きなメロディーが歌われる、というシステムですが、
よりバロック風というか、古典的な構築を見せます。

フーガはほの昏い半音進行による、
たいへん後期のカステルヌオーヴォ=テデスコらしい旋律。
そこに3連音符のアウフタクトではじまる、宣誓のような結尾が
現れ、音楽を別の風景へと導くのが特徴的です。
中間部は少し諧謔的なマーチとなりますが、
それも先ほどの3連音符によって寸断されます
深い、Deepという意味の、もう少し暗示的なニュアンスも加わった
“Profundo”という言葉がありますが、
まさにその言葉が似合う、いにしえの人々や心の内奥に
想いを馳せるような雰囲気をよく表した曲だと思います。



































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