ギタリスト 鈴木大介のブログ

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zoom RSS 現代音楽のシェフ

<<   作成日時 : 2011/12/02 00:44   >>

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萩原朔太郎コンサートの模様がこちらに載ってます。
http://294bros.com/gj/?p=3048

昨日、イェランさんの素晴らしいコンサートで
ヴァイスの「ロジー伯のトンボー」を聴いて
思い出したのですが、
半音階の上昇というのは、
魂の上昇、昇天を表現するのです。

僕が世田谷文学館で弾いた「玉響」は、
半音階の下降で始まり、上昇で終わるのですが、
これはやはり、西村先生が言われていたように、
何かが通り過ぎてゆく、ひとときの感覚、
そしてその何かは、遠くスピリチュアルなもの
ということを表しているのだなと、
あらためて気づきました。


僕が世田谷文学館で弾いたソロのパートは、
僕にとっては大切な挑戦でした。

例えば絵画では、
風景画があり、肖像画があり、抽象画があります。
お酒や料理の世界にも、
しょっぱいもの、あまいもの、苦いもの、それ以外に、
複雑で形容に困るような味覚のものがあって、
人々はそれらを普通に楽しんでいます。

朔太郎の詩は、
登場人物がいて、ストーリーがあるものではないし、
具象的な描写、というよりは、言葉そのものの響きや感覚、
それらが並び行く韻律を楽しむ、という意味では、
抽象的な言語表現へとつながるものです。
朔太郎の作品の、
ある種、シュールレアリスティックな側面を評した人もいました。

では、なぜ、
音楽だけは、
一般に、それに専門的にたずさわっているはずの人々の間でさえ、
心地よいリズム、わかりやすいメロディーに
どれだけ自己投影と感情移入、陶酔できるか、といった、
きわめて平面的な魅力を要求され続けるのでしょうか。

もちろん、そうした音楽の楽しさを僕はよくわかっているつもりですから、
今まで、ヒーリング・ミュージックのアルバムも作りましたし、
ロマンティックな曲もたくさん弾きます。

おそらく音楽は、
他の芸術に比べて、直接肉体に与える快感があるのです。
以前、僕に、
音楽というのは、音が鼓膜に触れるものだから、
触覚の芸術なんだよ、
と教えてくれた方がいて、
僕はほんとうにそのとおりだと思いました。

音楽は身体にさわってくるので、
人々は、その肌触りの心地で、
音楽を求めたりもするのです。
ですから、グルーヴとメロディーが、
本当に、心地よい音楽の大切な要素ではあるわけなのです。
そして、この音楽の魔力を指して、
退廃的だ、享楽的だ、と
恐れをなした知識人は歴史上に少なくありません。

音楽を「恐ろしい戯れ」と言ったのは、
たしか三島由紀夫でしたか・・・・・。


朔太郎の詩は、
言葉の芸術としては、
非常に魔術的なように、
僕には感じられます。

そのことが今回のコンサートの
僕自身のテーマでした。

朔太郎の詩のように、
あるいは抽象絵画のように、
人を惑わせ、酔わせる音の芸術とはいったいなんでしょう。

心地よいメロディーはないけれど、
幻惑的な響きがあったり、蠱惑的な音色が聴こえたりするだけで、
どこがどう、と表現できないけど、
その音楽で不思議な気持ちになれる、という音楽は
なかなか理解される場がありません。

先日のコンサートは
どなたにでも聴いていただけるものでしたので、
そのような場でこそ、
わかりやすい作品と、
抽象的な作品を並べてみたかったのです。

ご理解をいただいた
キングレコードの宮山さん、世田谷文学館の皆様に
心から感謝をいたします。

お聞きになってくださった方、それぞれに
ご感想がおありになったかと思いますが、
全体を通して、
やはりお客さまの「?」も感じつつ、
しかし、最後に弾いた古賀政男とトセリに来たときに、
会場全体が安堵し、解放された雰囲気だけにはならなかった、
ということに、とても勇気をもらいました。

現代音楽は、食べて心がほっとするような、
カキフライ、海老フライではありません。
しかし本物の海老フライ、カキフライを洋食屋さんに行って注文すれば、
それなりの金額がするものですから、
大衆的な音楽作品が簡素なのではなく、
現代音楽が高級なのでもありません。

しかしながら、多少難解で複雑でも、
極めて先鋭的な聴覚に訴える作品というのは、
人を贅沢な、
非日常的な気持ちにさせてくれるものなのだと思います。

料理もワインも、そうであるように。

これからも、
いろいろなチャンスをもらって、
現代の音楽を、
外の空気へ解き放っていきたいと思っています。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
朔太郎の詩は白いうなじを指でなぞるような感じがします。音楽でも同じなのですね。詩というものも耳から全身に入ってくるような気がします。音楽は全身の皮膚から。髪の毛一本でさえも。
あや
2011/12/02 01:14
確かに、プログラムを見て?いつもギターになじんでいられる方ばかりでは・・・と。でも 贅沢に、心豊かな時を過ごされているあの空間の雰囲気がとてもいい感じでした。現代曲は聴くほどに魅かれていくもののようですね〜♪
葉っぱ
2011/12/04 00:21
確かに現代曲ばかりでしたが、鈴木さんワールドに引き込まれてしまいました。
会場も良かったですね。
マンドリンの方もとても若くてお綺麗な方でしたね。
りさこ
2011/12/04 01:30

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