ギタリスト 鈴木大介のブログ

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zoom RSS 魔笛の今のバージョン

<<   作成日時 : 2011/12/14 14:10   >>

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>chara さん、
CDご購入ありがとうございました!!

CD「Mozart Variations」は2006年の製作で、
当時完成したばかりの
メープルを横板と裏板に使用した今井さんのギターが素晴らしかったので
それを使用して演奏した作品です。

このギターは、
少し19世紀ギターに似たサウンドをもっているので、
あまり爪を使わずにほとんど指頭奏法のような感じで
演奏した記憶があります。


一方、いずみホールでは・・・・

僕はフレタという楽器を使っていました。
この楽器は、非常にロマンティックな、
現代のギターらしいギターです。

やはり、使うギターによって音楽表現というのは
左右されてしまうもので、
昨年、このフレタで、日本モーツァルト協会というところで
演奏会をさせていただいた時に、
楽器に触発されていろいろなことが変化しました。

まず、テーマの歌い方が、大きく、多少ゆっくりになったこと。

これは声楽の方が、古楽などをノン・ヴィヴラートで歌う時と、
近代のオペラのように、たくさんヴィヴラートを効かせて歌う時の
違いを思い浮かべていただければ良いと思います。

それから、ダイナミック・レンジの問題。

フレタは、低域のブリリアントな音色を持っているので、
(ボディーも少し大きい)
際限なく盛り上がれてしまうのですが、
それだと、現代のコンチェルト用のピアノでモーツァルトを弾くみたいに、
ソリッドに音の粒を揃えるのに労力が必要で、
響きを解放すると、19世紀にはあり得ないくらい音が混ざってしまう、
という部分でのコントロールが発生してしまいます。
そこでフレタで「魔笛」を弾く時は、
実は僕は、逆をついて、敢えてダイナミック・レンジは狭めにして、
音を均等に鳴らしていくことに集中しているのです。

コーダの最後の部分、ホ長調のスケールが2回続く場所で、
普通ならどんどん盛り上がっていくのですが、
僕はそこをどんどんデクレッシェンドさせていき、
本当に消え入るように弾いておいてから、
ラストの和音4つを強めに、しかし最後の和音は非常に抜いた感じで弾いています。
すると、とてもモーツァルトらしい感じが出るんです。

古楽器の世界でも、
かつての科学的文献的な検証によって
厳密な演奏様式の再生を目指すあり方から、
現代の音楽の供給されるホールや録音状況へ対応した、
より自由な形が生まれるようになってきていますね。

古楽器によるバッハの演奏でも、
もう少し後の時代を得意としている、ロマンティックな声質の歌い手さんが
ソロをとったり、
かつては古楽器の演奏で僕たちをあっと言わせた巨匠たちが、
さりげなくモダンの楽器を弾くようになっていたり・・・

そういうことにも影響されて、
多分、自分自身の中にも、
フレタという、バルセロナで作られたとてもロマンティックな楽器による、
ソルの作品の演奏、ということに、大きな興味が湧いたのではないでしょうか・・・・

そういえば、
フェルナンド・ソルという人は、バルセロナに生まれて、
パリで作られたギターを弾いていたのですが、
自分自身の生まれた年から約200年後に、故郷で作られる楽器が、
こういう楽器になるとは、予想もできなかったでしょうね・・・・・



楽器によって、あるいは年齢によって、
いろいろと変化したりするのは、当然のことなので、
ここに書いたのは、僕自身の確認用とでも言いいますか、
べつにご説明するほどののことではないのですが。。。


いずれにしても、
今の演奏の方が良い、
と言っていただけるのは、とても嬉しいですね。

いつかフレタで「魔笛」を再録します。


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
その魔笛、楽しみです😃
記事も勉強になります。
歳を重ねれば、それだけ演奏も変わるんでしょうね。
それこそ楽しみですねo(^▽^)o
かおり
2011/12/14 20:12
フレタもすごいけど、ラテンを奏でる大介さんの指もすごい。
誰にもまねできない、陽気で開放的で温かい音色が生まれるから。
天空仙人
2011/12/15 23:31

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